猪鹿単独猟を始めて1年3ヶ月経ちました。
始めて5ヶ月間のノウハウをまとめた「獲得率82%の単独猟初心者が使っているノウハウ⑮ まとめ」を読み返すと、ちょっと違うなと感じます。
10ヶ月分の変化を楽しみたいので、昔の記事は手を付けず新たに記事を書きます。
本題の前に指標と猟スタイルを補足します。
目指す指標や猟スタイルが違っていたら意味がないかもしれません。
〈指標〉
最近は出猟から約5ヶ月遅れてブログ更新中。未投稿の猟があります。
始めた2020年8月~本投稿の2021年11月上旬の猟果で計算します。
・出猟36回
・射撃数43発(回収した獲物に着弾した数38発、失中4発、半矢未回収1発)
・獲得頭数34頭(鹿19頭、猪14頭、穴熊1頭)
タイトルに書いた獲得率は、獲得頭数34頭/出猟36回=94.4%
もう一つ大切にしている指標は的中率。
(射撃数43発-(失中4発+半矢の未回収1発))/射撃数43発=88.3%
犬なし単独忍び猟で静的狙撃に徹した獲得率と的中率です。
撃たずに見送った頭数は覚えていませんが多いです。
〈猟のスタイル〉
闘争モードでも逃走モードでもないリラックスした獲物を選んで、急所を撃つと即倒するので簡単に回収できます。
走る獲物を動的に撃つ巻狩とは別の技術体系だと思います。
光学機器なしで巻狩中心にやってる先輩から「単独忍び猟は獲れない」と言われたことがあります。
わたしもリブ照星のスキート銃で10回出猟しましたが物理的に獲物が見えないから近距離まで近寄るため難易度が高いです。
さらに単独猟でも走る獲物を動的に撃つ先輩は、巻狩のタツマと違って獲物のルートを予測できない状況で走る獲物に向けて発射します。的中率が下がるし半矢未回収も発生するようです。
さて、本題です。
わたしの大物単独猟に影響していた要素15項目を10ヶ月前にリストアップして、影響度・コスト・影響度の理由をまとめていました。
太字が現在のコメントです。
# | 要素 | 影響度 | コスト | 影響度の理由 |
1 | 犬 | × | 高 | ↓ 今思うと、別の猟スタイルであって比較する意味がない気がする。 犬がいなくても獲れる結論は変わらない |
2 | スコープ | × ↓ ◎ | 高 | ↓ スコープに慣れて圧倒的有利を実感する。①精密射撃 射撃場50mをスキート銃リブ照星とスコープ銃で撃ち比べた。照星で的紙が隠れて粗点が見えず精密射撃はできない。スコープ銃ではヘッドや脊椎を撃って即倒させるようになった。 ②距離 獲物と距離を詰めずに撃てる。猟場では直線距離を詰めればよいわけではなく、見つけた場所から回り込まなければ獲物が地形に隠れてしまう場合があり、スコープがなければバレるリスクが高まる。 |
3 | 銃本体の精度/弾の相性 | △ ↓ ◎ | 低 | (50m依託でセンターから半径20cm) ↓ この記事を書く時点で、RedBird competition20番を使って17頭の猪・鹿をほぼ走らせずに獲っている。撃つべき部位をイメージ通りに撃てば獲れると確信しつつある。現在の猟スタイルには不可欠の要素 ファクトリー弾でField(猟用)とcompetition(競技用)を比較したら競技用がまとまるのだから試すべき弾の種類はさほど多くはないはず |
4 | 射撃スキルの把握 | ◎ ↓ ◎◎ | 高 | 銃の精度と自分のスキルを把握するからこそ忍び寄る適切な距離が分かる ↓ 昔の記事を書いた頃以上に強く感じる。依託射撃でワンホール出たり出なかったりだけど猟場ではあまり影響ない気がしている。猟場で使う立射や膝射でどのくらいのグルーピングか分かっていれば、獲物を見つけた時に撃つ条件がそろっているか判断できる。自分のグルーピングのイメージを獲物の上に重ねて外すと思ったら、あたると思う距離まで近寄るだけでいい。遠射スキルは手段に過ぎず、獲物を獲る事が目的なのだから。 |
5 | ストーキング | ◎ | 低 | 自信をもって撃てる距離まで近寄るからこそ獲得率が上がる ↓ #4と同じ。 |
6 | SLLS (Stop.Look.Listen.Smell) | ◎ | 低 | 聴覚や嗅覚も総動員するとチャンスが増える ↓ ・Listen 電子ヘッドセットの集音機能は常時使っている。5,000円前後の安物だが十分使える。スコープが視る力を倍増するように集音機能は聞く力を倍増する。使わないと聞き逃す微かな音がきっかけで獲れることは少なくない。耳の保護をせず、耳が遠くなればListen能力が落ちる。ダメージの蓄積とともに猟の能力が落ちていくと分かっているのでマスト。 ・Smell 忍び足も獲物が近い時と気配が全くないエリアでは集中の度合いが異なる。当然獲物が近い場合は全力集中で一切音を立てないつもりで移動するし、気配がないエリアでは多少の音は気にしない。動いてない獲物が地形で隠れているような場合、気配がないと誤解してしまいがちだが、臭いで気付いて全力集中の忍び足に切り替えるきっかけになる。 |
7 | オレンジベスト・帽子 リュック | × | 低 | 猟友会ベスト・帽子、オレンジのリュックでも獲れる ↓ 有害鳥獣駆除で猟友会ベスト帽子は必ず着用。オレンジのリュックも変えていない。だけどあまりバレない。 |
8 | 自分が発する匂い | △ ↓ × | 低 | ↓ 出猟直前にたっぷりニンニクハンバーグを食べて行ったら3回ボウズを経験した。バレやすくなる臭いの強いものをわざわざ食べる必要はない。普通の食事に切り替えたらまた獲れるようになった。 |
9 | 山歩きの時間 | ◎ ↓ ◎◎ | 中 | ↓ #10とセットで考える必要がある。日の出とともに猟を開始するようになって入山から1~2時間以内に獲れるケースが増えて、午前中に片付くようになった。遅いスタートでも念入りに歩けば遭遇するが非効率だった。午後に狩り以外の事もできるので、生活の幅が広がって有意義。 |
10 | 時間帯 | × ↓ ◎◎ | 中 | ↓ #9参照 |
11 | 猟場の数 | 〇 | 中 | 同じ猟場に集中して通って警戒されないよう複数の山を巡るようにした ↓ 連日同じ猟場に通った経験がないので警戒を薄める効果があるか不明だが継続するつもり |
12 | 猟場の質 | 〇 | 高 | 日によって濃さは違うが通う猟場は獲物がいる(自分で探し、農家から教えてもらった) |
13 | 田舎(山)暮らし経験 アウトドア経験 | × | 高 | 田舎も山も自然も知らないが獲れる (ただし山を知らないので危ない) |
14 | 体力・筋力 | △ ↓ ◎ | 高 | その場にいる猪や鹿を2頭まとめて獲れるようになって忍び猟は体力なくても獲れると分かったが、引き出しや解体は体力・筋力がないと辛い。体力・筋力は必要。 |
15 | 銃器や生態の知識 | × ↓ 〇 | 高 | ↓ 汚れや傷は動作不良や事故のもと。基本的なメンテナンスはまめにやるようにした。 |
10ヶ月前の記事は下記3点で締めくくっていました。
大物単独猟ビギナーのわたしが順調に猟果を得られた主因はこの3点と考えています。
1.自己分析(考察)
獲物を見送ったら何が良くて何が悪かったかを分析してメモすること、次の出猟時に分析から導いた仮説を地道に実施していました(4ヵ月前の猟について詳細に書けるのはメモがあるからです)。仕事ぽいですがPlan→Do→Check→Actionです。
2.スラグ射撃練習(資金)
射撃練習といっても、立射と膝射、距離を変えて25発ずつ撃って100発ていどです。
「射撃精度を上げる」:「グルーピングの把握」=30:70 です。
あたる距離を越えて不必要に近づき過ぎたり、腕前以上の遠距離から撃ったりしていても獲れないでしょう。
3.猟場を歩く(時間)
11回の出猟をまとめた記事では撃ち獲る前後を中心に書いています。Twitterならもっと切り取ってます。もしかしたら、ぽんぽん獲れるように見えるかもしれませんね。
実際は撃てずに見送った獲物が沢山いて、一回の出猟あたり4~7時間歩いています。
現在の考え方は以下のとおりです。
1.自己分析(考察)
以前と変わりません。
・シチュエーションをメモしてPlan→Do→Check→Actionする。
・客観的に検証するため数字を記録して指標の推移を確認する。
2.射撃姿勢(練習)
週に1~2回10分程度、猟場を想定して鉄砲の練習をします。
・自宅で安定を感じられるまで構える。
・ケラレを意識してスコープ覗いて部屋の中を見る。
・自分のグルーピングを獲物に重ねるイメージを思い描く。
3.効率化(考察)
効率的に獲りたいので行ける時にいって闇雲に歩き回るのではなく、獲物が動く時間帯にポイントを巡るように計画することで負担を軽減できました。
とにかく歩き回った経験が活きてます。
わたしと同じように基礎知識、経験、資金がない“持たざるビギナーハンター”の一助になることを願ってこのシリーズをアップデートします。
# | 記事タイトル | 概要 |
1 | 実績 | 単独猟初心者の初回~11回目の実績 |
2 | “自宅” | 初心者ほど自宅の練習で効果が出る |
3 | “射撃場” | 腕を上げるだけじゃない。力量を知ると猟果につながる |
4 | “猟場-Look” | 最も使う五感は視覚。効果的な視界の使い方 |
5 | “猟場-Listen” | 耳で獲物を探す。電子イヤマフは武器である |
6 | “猟場-Smell” | 臭覚が役立つピンポイント |
7 | “猟場-Stop” | 獲物を探すときになぜ立ち止まるのか |
8 | “忍び猟の猟装” | 高価な猟服じゃなくてもいい |
9 | “忍び猟の行動(1)” | 歩き方と目配り |
10 | “忍び猟の行動(2)” | 地形、遮蔽物の利用、獲物との距離 |
11 | “小さな気付き(1)” | 立ち止まるときの姿勢、休憩する場所と鉄砲の置き場所 |
12 | “小さな気付き(2)” | 自分が得意なスタイルを探す。立射は安定しない? |
13 | 助言を試す(1) | 見下す位置、怪しいカタチ、自然にない音を持ち込まない |
14 | 助言を試す(2)” | 自然にない臭いを持ち込まない、風向き |
15 | まとめ | 持たざる者が猟果を出すためのポイント |